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zoom RSS アイドルの概念を揺るがすPerfume

<<   作成日時 : 2008/04/09 23:19   >>

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 「idol」とは、偶像とか、崇拝される人のことで、例えば、ベッカム(サッカーのイングランド代表)が、ジーコ(サッカーの元ブラジル代表)について、
「彼は私のアイドルだった」
と発言しているのが、本来の使い方です。でも、日本での「アイドル」は、違う意味で使われています。日本では、「アイドル歌手」とか「アイドル女優」とか「バラドル」とかの形で、若手芸能人のうちの、本格派指向ではない人を指す感じかな。
 とりあえずここでは、日本の女性アイドル歌手に限って考えてみます。

 Perfumeは、見た目(例えば「ポリリズム」や「Baby crusing Love」の衣装)はアイドルど真ん中です。「Perfumeです!」の可愛い定型あいさつもアイドルそのもの。振り付けも、女の子の可愛い仕草を表現したものが多いし。でも、やっている楽曲やダンスパフォーマンスはアイドルのレベルを遙かに超えています。広島弁丸出し爆裂トークはアイドルというよりお笑い芸人。芸歴の長さ(小学校5年生で始めて、ブレイク時に既に8年)を考えると、中堅芸能人と言ってもいいくらい。CDデビュー(2002年3月)から数えても、下積みが6年。

 「Perfumeはアイドルではなくアーチスト」と言う人もいれば、
「Perfumeは、くくりとしてはアイドルでいいんですかね?」
http://news.livedoor.com/article/detail/3302952/?p=7
とインタビューで尋ねる人もいます。Perfumeは、従来の「アイドル」という概念を揺るがす存在となっているのでしょう。
 本人達は、上のインタビューに対して、
「何でもいいです。どこのくくりでも。」
と答えたり、
「アイドルですから」(「Hey Hey Hey!」だったかな)
と答えたりで、一定しません。

 ぼくはPerfume中毒になってから、ずっと、「アイドルって何だ?」と考え続けてきました。
 「Perfumeです!」の定型の可愛らしい挨拶は、事務所からやるように言われているのではなく、自分たちで考え、広島時代から一貫してやっている挨拶です。その意味では、Perfume自身がアイドル指向を強く持って来たと思います。
 インディーズ時代は、(テクノを歌っているという点を除いて)まさにアイドル。事務所が中田ヤスタカに作曲を依頼したときも、
「「アイドルの曲を作ってください」と依頼された」(Quick Japan vol.74, p.44)
ということです。
 メジャーデビュー後も(一部を除いて)見た目はアイドルそのもの。TVやラジオのトークでキャッキャッとはしゃぐ姿もアイドルそのもの。Perfumeは自分達のやっている曲のことをあまり理解しておらず、中田ヤスタカがPerfumeのことを、
「ハウスのハの字も出てこない(笑)。これはピコピコしているから全部テクノだ!」「でもそういうすごい短絡的なことを、内側から本気でやっているからこそ面白い。」(Quick Japan vol.74,p.46)
と微笑ましく語っているのも、Perfumeがアーチストというよりアイドル的であることを示しています。ま、ぼくも「ピコピコしているから全部テクノだ!」と思っている一般人なのですけども。(「ハウス」って何でしょう???)
 これらを考えると、Perfumeはアイドルまたはアイドル寄りであることは間違いないと思います。
 でもPerfumeは、これまでのアイドルとはあまりに違いすぎます。
 一般的なアイドルには、「たくさんの応募者がいたオーディション・コンテストで優勝した」「スカウトされた」「ちょっと前まではごく普通の女の子だった」といったシンデレラストーリーがついて回りますし、それがまた夢を与えるものとなっています。「ポッと出のアイドル」という言葉がありますが、アイドルのシンデレラ性を考えると、むしろ「ポッと出」こそがアイドルの本質、とさえ思っていました。しかしPerfumeは、ブレイクするまで実に6年かかり、シンデレラとは縁遠い存在です。「雑草魂」と言われるくらいです。
 新人アイドルや売れないアイドルが苦労する話は、これまでも目にしてきました。でもそれは、TV番組の中での「苦労」です。そもそもTVに出ている時点で、大きなチャンスを掴んでいるわけです。TVその他のメジャーなマスメディアに出演する機会が全くないのが本当の下積みです。Perfumeは、(地元広島以外では)存在さえ知られていなかった、という点で、本物の苦労をしています。
 一般的なアイドルユニットは、事務所がメンバーを集めて結成させるものですが、Perfumeは小学生(!)の時に自分達で結成。
 一般的なアイドルは、旬が短いです。だからデビュー時に事務所が強力なプロモーションをかけ、様々なメディアを利用して一気に名前を売ります。有力なドラマやCMとタイアップしてCDを出し、グラビアモデルをやり、バラエティに出演し、色々な会社や商品のイメージキャラクターを務め、とにかく様々なメディアに露出して一気に顔と名前を売ります。事務所としては、歌でもグラビアでもバラエティでも、とにかく何でもいいから売れれば勝ち、というのがアイドルです。しかしPerfumeは歌一本。しかも金をかけたプロモーションとは無縁でした。掟ポルシェ氏は、
「アイドルというより、バンド的なセールスプロモーションのあり方だとは思うんです」
http://blog.yomiuri.co.jp/popstyle/2007/10/post_fa63.html
と語っています。
 一般的なアイドルの楽曲は、プロデューサーがそのアイドルのイメージにあった曲を作ります。しかしPerfumeのサウンドプロデューサーである中田ヤスタカは、
「彼女たちがアイドルであろうとなかろうと、僕はいつも通りきちんと曲作りをしているだけ。」(QuickJapan vol.74 p.45)
と語っています。これは、アイドル性をあまり考慮せずに曲作りをしているというより、従来的なアイドルソングとしては作っていないということだと思います。
 一般的なアイドルは恋の歌がメインなのに対し、Perfumeの歌は恋を正面に出したものはインディーズ時代も含めて少ないです。作詞家が木の子から中田ヤスタカに変わっても同じです。
 アイドルは、若くて、オーディションやスカウトの後、短期間でデビューするため、歌唱力やダンスの技術は未熟です。ただ、その成長を見守るのもアイドルファンの楽しみです。しかしPerfumeは、ブレイクしたときには既にデビュー6年で、ダンスもライブパフォーマンスもプロフェッショナルです。
 アイドルは、優等生的で、言動の制約が多いですが、Perfumeのトークは奔放で、アイドルらしからぬ、というより女の子らしからぬ発言も平気です。
「好き放題なことを言ってるのにもかかわらず、スレた感じが全然しないどころか、アイドル的としか言いようがない多幸感を醸し出せてる」「これはもう、3人の持って生まれた資質と言うほかない。」(宇多丸)
http://blog.yomiuri.co.jp/popstyle/2007/10/post_e3cb.html
 一般的なアイドルは、公的な場では方言を使いません。でもPerfumeは広島弁丸出しで実に大衆的。人を笑わせる技術にも長けていてその点では、お笑い芸人的でさえあります。ただ、無知から来る大ボケをよくかますあたりは、やはりアイドル。例えば、炭谷銀次郎(西武ライオンズ)のラジオ番組に出演時の野球無知ぶりと、コーナー終わり間際の信じられない強烈な天然オチなど。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm188525
(この番組の冒頭の「Perfumeです!」で、のっちが自分のことを「あーちゃんです」と言ってしまうのも笑えます。)
Perfumeのやっているテクノポップというリアリティが薄くて格好いい楽曲と、ハイレベルなダンスパフォーマンスに対し、広島弁の爆裂トークやボケまくりの天然トークがイメージのギャップを何重にも広げていきます。
 表に、(ぼくが思う)一般的な女性アイドル(歌手)ユニットとPerfumeと一般的アーチストを比較してみました。




普通のアイドル歌手(ユニット)

Perfume

一般的アーチスト(バンド)

年齢

若い

若い

色々

容姿

優れている

優れている

関係ない

衣装

可愛い

可愛い

格好いい

芸能界入りのきっかけ

オーディション等のシンデレラストーリー・インディーズ時代はない

アクターズスクール広島に入学

自分達のやりたい音楽をやるため

結成のいきさつ

事務所が組み合わせる

自分達で結成

自分達で結成

メジャー契約のきっかけ

最初からメジャーデビューが約束されている

インディーズでの活動の評価

インディーズでの活動の評価

ブレイクまでの期間

デビューで即ブレイク


売れない期間が長い

売れない期間が長い

デビュー時の活動


グラビアやバラエティに出る

ライブ活動

ライブ活動

所属事務所のプロモーション

デビュー時に全力

あまりない

色々

ブレイクのきっかけ


デビュー時のプロモーション

楽曲の良さ

楽曲の良さ

アーチスト性

楽曲制作も楽器演奏もしない

楽曲制作も楽器演奏もしない

楽曲制作・演奏をする

楽曲の傾向


恋の歌が多い

恋の歌は少ない

色々

プロデューサーの選定

事務所

事務所

自分たちで作曲


プロデューサーの楽曲制作時の意識


アイドル性を意識して制作

従来のアイドル性はあまり意識せずに制作

自分たちのやりたい曲を作る

楽曲の理解度

あまり理解していない

あまり理解していない

自分たちで作っている

キャラクター

清純・純粋(というイメージ)

清純・純粋

色々

恋の位置づけ(イメージ)

恋する乙女(という設定)

恋より仕事(かしゆかが明言)

色々

現実の恋愛

御法度

不明


自由

トーク

優等生的

奔放・爆裂トーク

自由

言動の制限

多い

あまりない

あまりない

ターゲット層・ファン層

少年・20代男子

色々

バンドによる

少年・男性向け雑誌のグラビアモデル

する

しない

しない

歌唱力

未熟

上手い

上手い

ダンス

未熟

プロ

しない

MC

台本通り

MCはアドリブ・客を煽る

上手い


 こう見てくると、Perfumeは、アイドルよりもアーチストの方に共通点が多いです。それでもPerfumeがアイドルと感じるのは、「作詞作曲も演奏もしない」「事務所が決めたプロデューサーの作った曲を歌う」「若さ」「容姿の良さ」「清純さ・純粋さ」といった点にあるのでしょう。
 Perfumeは、アイドルの概念を揺るがす存在ですが、Perfumeによって、アイドルの本質がはっきりしたとも言えます。(注1)
 ただ、Perfumeの登場で、これからのアイドルは少しやりにくくなるように思います。
これまでなら、歌も踊りも下手でも、「アイドルだから」と暖かく見守って貰えていたのが、Perfumeのパフォーマンスのレベルと比較されると、「下手」と切り捨てられるかもしれません。
 これまでなら、トークが優等生的でも、「アイドルだから」と思って貰えていたのが、Perfumeのお笑い芸人的なトークと比較されると、トークがつまらない、と思われるかもしれません。
 これまでなら、アイドル=ポッと出だったのが、Perfumeのように長い長い下積みを経てブレイクした経歴が知られると、ポッと出のアイドルは「苦労が足りない」と思われるかも知れません。でも、若さと芸歴の長さを両立させようと思ったら、Perfumeのように、小学生時代から懸命に活動していなければなりません。そんなことのできる少女がそれほど沢山いるはずもありません・・・。

(注1)この点については、既に掟ポルシェさんが、
「アイドルにまとわりついていた余計な要素を取り払ったあとで残ったものというんですかね、最終的に。それがPerfumeなんじゃないかなって気がしますね。」
http://blog.yomiuri.co.jp/popstyle/2007/10/post_3e50.html
と指摘しています。自分で上の文章を書いてから、改めて「宇多丸×掟対談」を読んで、既に掟さんがぼくよりもずっとスマートな表現で同じことを言っていたことに気づいたのでした。


【追記(2008/10/25)】
KINDさんが「Perfumeはロックである」で、アイドルとしてのPerfumeについて、見事な分析をしておられます。
http://d.hatena.ne.jp/KIND/20080424/p1#tb

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